面な線で描くイラスト

イラレの塗りブラシツールを使ってイラストを描くときのメモ。要領は線で描くイラストと同じですけれど、その線が塗り面になるので、あとから線の太さを調整できない分、使用場面が限定的になっちゃいます。けど、線のニュアンスをより繊細に表現できるので、アナログで描いたみたいな印象にすることができます。
※とっても古い記事なので今のイラレのツールと違う点にご留意ください。X(

塗りブラシツール

みっつめは、輪郭線を塗りで描くイラスト。主に塗りブラシツールを使います。
塗りブラシツールで描かれた線は、そのままオブジェクトになるため、まるで油性マジックで描いたみたいな描き心地で、鉛筆ツールで描くよりもいっそう直感的に線が描けると思います:D

まずは塗りブラシツールのセットアップから。
塗りブラシツールアイコンをダブルクリックして塗りブラシツールオプションパネルを表示します。ここで、塗りの幅とか、筆圧での塗り幅の変位を設定します。サイズを5ptにして「筆圧」を選んで、変位も5ptで、つまり、描いた線が筆圧によって0pt〜5ptに変化するようになります。筆圧が要なので、ペンタブレット必須です…。
あと、「選択を解除しない」と「選択範囲のみ結合」のチェックを外しておきます。

塗りブラシツールオプション
選択を解除しない
鉛筆ツールと同じく、チェックしておくと描いたあと、パスが選択された状態になるんですが、塗りブラシツールで描く場合は、選択されたままだと、描いた線のカタチが見づらくなるかなと思うので、ここではチェックは外してます。
選択範囲のみ結合
チェックしておくと、選択されたパスに接するように描いた時だけ、パスが合体されます。チェックを外しておくと、同じレイヤー上の同じ塗り色で描かれたパスが接していれば、選択されてなくても合体されます。
※ここでいう合体は、パスファインダーの合体と同じく、パス同士の重なった部分が引っ付いてひとつのオブジェクトになる、という状態を指します。

塗りブラシの最小幅がちょっと太めなので、相対的に線が細くなるように、アートボードの方を大きめにしときます。アートボードツールアイコンをダブルクリックするとアートボードオプションパネルが開いて、アートボードの大きさを変更することができます。今は「A4縦」の大きさになってますね(下図)。とりあえず、倍の「A3縦」にしておきます。
アートボードのどこを基準としてサイズ変更するかを決めて(ここでは中央に)プリセットから「A3」を選択。

アートボードの大きさをA3サイズに変更

下絵のサイズもそれに合わせて大きくします。
下絵の大きさは、塗りブラシツールで線を描いてみたときに、線で描くイラストの時くらいの見え方になるように調整します。画像を選択した状態で拡大・縮小ツールをダブルクリックして、数値でもって大きさを調整します。

拡大・縮小パネルを開く

200%じゃまだちょっと太く感じるので、300%の大きさに拡大することにします。

ブラシの太さに合わせて下絵の大きさを調整

輪郭線を描く

「選択範囲のみ結合」のチェックを外しているため、同じ塗り色で描いた線は、重なった部分はどんどん合体されて、ひとつのオブジェクトになります。結合されないようにするには、そのときだけ塗りの色を変えれば問題ないです。まつげの部分とかは、あとからバランスを調整したいので、シェイプが結合されないように塗り色を変えて描いてゆきます。
たとえハミ出しても、線がヘロヘロでも、あとから修正するので、今は気にせずなぞってゆきます。

筆を払う時よりも、筆下ろしの時の方が線が細くなるので(※僕のペンタブレットだけかもです)「線の先から描き始めて、根っこで止める」という描き方をしてます。

はみ出してても気にしない、線がヘロヘロでも気にしない

すべてなぞり終えたら、ハミ出したところや、線がヘロヘロなところを、鉛筆ツールでパスを上描きしたり、スムーズツールを使ってアンカーポイントを減らしたりで、きれいにしていきます。
きれいにするとはいえ、ただスムーズにするだけじゃなくて、払うところと止めるところを意識して、墨だまりを作ったり、塗りブラシツールで描いた線をあえて残したりして、線端や線幅にちょっと質感を感じるようにしていきます。

アンカーポイントを削減する

色塗り

色塗り面は、線で描くイラストの時と同じく、線画を利用して作ります。
できあがった線画の内側だけ選択した状態で、optionを押しながら、lineレイヤーからcolorレイヤーへ複製して、いらないパスを削除すれば塗り面のできあがり;)。lineレイヤーはロックしておきます。

塗り面の用意

色はパレットから、それぞれスポイトして塗ってゆきます。顔と腕と足、毛とパン、四角巾とパンツはそのままスポイト。

それぞれパレットから色を拾う

パンの模様は、lineレイヤーからshadowレイヤーに移動して、影色で塗ります。

パンの模様は影色を使う

あと、線画とほっぺにも色をつけたら、色塗り完了!

線画の色とほっぺの色も

塗り色が線画ギリギリまでしかなくて不安なので、塗りのオブジェクトをちょっとだけ膨張させるべく、メニューバーから「効果」→「パス」→「パスのオフセット...」を選択します。

パスのオフセットは、オブジェクトの外側/内側に向かってアンカーポイントを移動させることで、オブジェクトを太らせたり痩せさせたりしてくれる機能で、ここではオフセットの値を「0.6mm」にして適用しました(あとの2つは初期値のままです)

パスのオフセットを適用

けどよく見ると実際のパスは塗りの内側を通ってますね…。というのも、イラレの「効果」で適用した効果は、いったんアピアランス属性というのに登録されてて、まだ実際にパスには適用されていない状態なんです。これを実際のパスに適用するためには、パスを選択した状態で、「オブジェクト」→「アピアランスを分割」を選択します。

アピアランスを分割する

パスのオフセットを適用したら、塗り面のオブジェクトのアンカーポイントを削減します。線で描くイラストで色塗り面を作った時と同じくやっぱり、アンカーポイントが余分にごちゃごちゃしちゃってるので、その無駄を省くのです。
遠回りしてるパスをパス消しゴムツーツ連結ツールを使って短くしたり、鉛筆ツールでハショったり、スムーズツールを使ってアンカーポイントを少なくしたり。

パス消しゴムツーツや連結ツールで
鉛筆ツールやペンツールで

服の四角巾に沿って遠回りしてるパスはショートカットしてシンプルに、四角巾の別れてるパスもひとつにつなげてシンプルにします。

服も削減
四角巾も削減
重ね順をちゃんとしながら

影付け

影付けも線で描くイラストの時と同じく、影用のオブジェクトを、塗り面を利用して作ります。
塗り面をshadowレイヤーに複製したら、パレットからそれぞれの影色をスポイトしてから、ナイフで、影のカタチを切り出していきます。

影面用意
影の切り出し

切り出してじゃ作れない影は別途描き足して、ハイライトも付けて、地面に影を置いたら、はいできあがり!

影を追加して、ハイライトをつけて、地面に影を置いたらできあがり